毎年決まってインフルエンザが流行し始めるのは、12月から翌年3月の間です。何故冬の間だけ大規模な感染が見られるのでしょうか?その理由はウイルスにとって最も生存に適した環境をもたらしてしまう季節が冬だからです。ウイルスが空中に長く浮遊できると、その分人への感染率も上がってしまうわけです。
流行りやすい時期には気をつけなければなりませんが、流行が予測される月の前後でも十分感染する恐れはあるので注意が必要です。
ウイルスというものは、極小でありながらも生物の一種なので環境しだいによっては弱って消えてしまうことや、長時間生きながらえることが可能となります。
普段はどこかでインフルエンザウイルスが発生しても、気付かれないまま不都合な環境によって消滅していくので流行することはなく、人に感染できても弱っているせいで症状として身体に影響を出すまでもなく、免疫に排除されてしまうことでしょう。
しかし、これがウイルスの活躍できる時期になると話は別です。動物や人から出てきたウイルスが空気中でも長く滞在できる環境が整っていると、その分飛沫感染の確率が上がってしまうのです。
この生息活動に適した環境というのが冬から春にかけての期間なのです。
冬は気温が低下し、空気が乾燥するためインフルエンザにとって感染拡大を狙うチャンスということになります。
ウイルスというものは“温度”と“湿度”が高ければ高いほど生存能力が低下していきます。そのため春〜夏にインフルエンザが流行することは滅多に無く、冬は2つの数値が四季の中で最も低下するため、逆に生存能力を上げる結果になってしまうのです。
日本と外国とでは冬になる時期にずれがあるので、この病が流行する時期もずれてきます。旅行等で向かった外国先でのインフルエンザ感染や帰国の際に付着させたウイルスを自国に持ち込まないよう注意しましょう。
季節の変化が影響を与えるのはウイルスだけではありません。気温と湿度の低下は、人体を感染しやすいように働きかけてしまうのです。 まず低下した気温は体温を奪っていき、体調が徐々に悪くなっていきます。寒くなると疲労が溜まりやすくなり、身体をあまり動かさなくなってしまいがちです。そのように万全の健康状態が崩されることで免疫力が低下し、簡単にウイルスの侵入を許してしまいます。
次に乾燥した空気は、呼吸をするだけで喉と鼻の粘膜を減少させます。すると口や鼻から入ってきたウイルスを入り口の粘膜でガードできず、そのまま体内へと招いてしまうのです。マスクによる呼吸器官のガードにも限界があるので、喉と鼻の乾燥には気をつけておきたいですね。
冬に乾燥気味となる部屋の加湿促進や、帰宅後のうがい・手洗いが呼びかけられているのにはこのような理由があったのです。
決まった周期ごとに流行るインフルエンザが通常の「季節性」と言われるタイプなのですが、近年世間を賑わせた新型のインフルエンザはこのタイプではありませんでした。
毎年冬に流行るものは予防接種で感染しなかったり、発症してもそれほど長い期間はかからずに治ってしまう病でしたが、今までのどの型とも違う新型は体内の免疫が無い人が圧倒的に多く、感染がどんどん広まっていくので冬以外でも病が大流行することになったのです。つまり、新型は季節性のように最良の時期を見計らって流行るのではなく、人から人へと伝染する感染力の高さを利用して一気に感染範囲を拡大することに成功したのです。
季節性のインフルエンザもワクチンの型と一致するとは限らないので、予防接種が良く効いて全く流行らなかったり、思いがけず大流行することもあります。
ウイルスが流行し始めた兆候や新型のように季節外で油断しているとあっという間に流行する場合もあるので、この病が流行する時期には情報をしっかりと仕入れておきましょう。